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子どもがペットを欲しがる時の親の対応


不登校 ペット欲しがる 親の対応
 

不登校のお子さんは、しばしばペットを欲しがる場合があります。
でも、「本人は猫を欲しがり、兄弟は犬を欲しがる」、なんてことも…
 
こんな時、親御さんとしては、ペットを飼うこと自体に賛成でも、どちらを選ぶべきか迷いますよね。
 
そこで今回は、不登校のお子さんが、
「ペットを欲しがる時の親の対応」を お伝えします。
  

目次
1.「犬」と「猫」どちらを選べばいい?
2.今 最優先させることは、不登校の改善
3.なぜ、ペットを欲しがるの?
4.動物に優しくできれば、人にも優しくできる、というのは間違い
5.兄弟・姉妹への 心のケア

 


 「犬」と「猫」どちらを選べばいい?


 
冒頭でも少しお伝えしましたが、実はこれ、私がご相談を受けた ある親御さんからのご質問なんです。そのご質問は、次の通りです。
 

【質問】 
不登校の長女(中1)は、「ペットに猫を飼いたい」と言います。
でも、長男の弟(小5:不登校ではない)は、「犬がいい」と言い出して、喧嘩になってしまい困っています。
 
ペットを飼うこと自体は、優しさなどを学ぶいい機会だと思うので、親としても賛成です。
ただ「犬」と「猫」、どちらを選べばいいのでしょうか?

 
このように、不登校のお子さんが、犬・猫に限らずペットを欲しがることは、「不登校あるある」ではないでしょうか?
 
では次に、私の回答です。
 
 


 今 最優先させることは、不登校の改善


不登校 ペット 親の対応

 

【回答】
不登校の改善という視点から考えると、娘さんが欲しがっている「猫ちゃん」です。
 
また、ペットを欲しがる子どもの心理は、「何か淋しさを抱えているのでは?」と考えることが大切。

加えて、猫を選ぶことで、弟さんには我慢をさせることになるので、弟さんへの心のケアも忘れずに行う。

 
はい、いかがでしょう?
この回答を、もう少し詳しくご説明しますね。

不登校のお子さんがペットを欲しかる場合、親御さんとしては、「今まで心をすり減らして頑張って来たのだから、その子の願いを叶えてあげたい」と思うのではないでしょうか?
 
でも、ご家族の反対や、ご兄弟との兼ね合いを考えると、一筋縄ではいかない現実がある。
 
特に、ご兄弟がいる場合は、親御さんがどんなに平等に接していても、「○○ちゃんばかり ズルイ」等と、「劣等感」を感じやすいものです。
 
これって、親御さんとしては、本当に大変ですよね。
 
とはいえ、今、最優先させることは、娘さんの不登校改善です。
 
これがブレてしまうと、下記のような未来が訪れる可能性が高くなってしまいます。
 
・不登校の長期化
・姉弟(きょうだい)それぞれが、「優越感・劣等感」に悩む
・弟さんも、不登校になる可能性が高まる
・年齢的には大人でも、思春期の葛藤・反抗が終わらない
・うつ病等の精神疾患を患う
・後々まで、姉弟・親子間の確執を産む 等々…
 
これでは不登校どころではなく、今よりもっと大変です!

そこで、親御さんは、ご本人(娘さん)の意思 や 願い事(希望)を叶えてあげることが、不登校改善への一歩となります。
 
というのも、この本人の意思や願い事(希望)を受け入れることで、「自分は認められ、愛されているんだ」と、心から思えるようになると、不登校は改善へと向かうからです。
 
ですので、今回のケースでいえば、ペットに選ぶのは「猫ちゃん」です。
 
 


 なぜ、ペットを欲しがるの?


ペット欲しがる 子どもの気持ち

 
先述のように、「猫を飼う」と決めたとしても、親御さんには考えて欲しいことが、2つあります。
 
1つは、「なぜ、子どもは ペットを欲しがるのか?」ということです。

実は、ご相談を受ける不登校の子どもの多くが、ペットを欲しがります。
 
そして、動物をとてもかわいがったり、優しくしたりする場合、「友だちがいなくて、淋しい」などの 「何らかの淋しさ」を抱えているケースが多いんです。
 
もちろんこれは、動物をかわいがる子は、みな友だちがいない、という意味ではありません。

ただ、色々なことを話せる相手がいない。 
あるいは、「不登校をして申し訳ない」と負い目を感じている状態では、親御さんや兄弟と、ゆっくり安心して対話できない等。
 
このような淋しさがあると、ペットにそれを求めようとする傾向があります。
 
そして、そのかわいがる様子を、よくよく観察して頂くと分かるように…
 
「ペットに優しくするように、自分もそうしてもらいたい」、という本当の気持ちの裏返しなのです。
 

 動物に優しくできれば、人にも優しくできる、というのは間違い


不登校 ペット 優しさ

 
2つ目は、「動物に優しくできれば、人にも優しくできる」、という考えです。
 
多くの方が、このように考えているようですが、 実際のところは違います。
 
なぜなら、動物をかわいがることと、人間に対して優しくすることとは、根本的に違うからです。
 
人間は、優しくしてもらった経験がないと、他人に対して優しくすることはできません。
 
ただ、自分が優しくして貰いたくて、おべっかを使うことはできるので、優しい人のように見せることはできます。
 
しかし、その人とある程度付き合うと、本当の優しさではないことに気付かれてしまい、後々、対人関係に問題が生じます。

例えば、ペットに服を着せ、高級なエサでも惜しみなく与えたりするような優しさを、隣人に与えられるかといえば、それはできない、と思いませんか?
 
多くの場合、ペットへの優しさは、自分より弱いもの、自分を裏切らないもの、自分に危害を加えないもの、反抗しないもの に対する優しさであり、自分が優位に立てないと 発揮することは難しいでしょう。
 
ですので、この優しさを人間にそのまま応用しても…
 
自分と対等の人との場合は、自から気遣いをしなくてはならないので、優しくしなかったり、よそよそしい優しさになります。
 
また、自分より強い人、恵まれた人には、優しくできないか、反射的に無視したり、敵意を感じたり、嫉妬したりする、といった反応をしてしまう。
 
つまり、ペットへの優しさと、人間に対しての優しさとは、そもそも質が違うのです。
 
本当の優しさとは、相手に対する哀れみでもないし、自分より恵まれたものに対しても、強いものに対しても、変わらない優しさのことです。
 
ですので、「動物に優しくできれば、人にも優しくできる」と考えるのは、間違いですね。
 
とはいえ、ペットを飼うこと自体は、多くの学びがあり、とても良い経験になるので、お子さんが望んだ時は、できるだけ叶えてあげて欲しい、と思います。
 

 兄弟・姉妹への 心のケア


不登校 兄弟・姉妹 心のケア

 
最後に、 ご兄弟・姉妹がいる場合の「心のケア方法」をお伝えします。
 
今回のように お姉さんの希望が優先された場合、弟さんから見ると、面白くなかったり、疎外感を感じたり、劣等感を感じ易くなります。
 
すると、弟さんも情緒不安定になったり、不登校になることがありますので、大変だとは思いますが、 親御さんは、「ご兄弟・姉妹への心のケア」も忘れずに行いましょう。

具体的な方法としては、まず、弟さんの話を聞いてあげて下さいね。
 
その際、犬が欲しかった理由や、それが手に入らない悔しさ、といった 感情の発散をさせてあげることが大切です。
 
そして、十分に感情の発散ができて、少し落ち着いて来たら…
 
「今、お姉ちゃんは、学校で大変なことがあって傷ついているから、それを癒すために、今回のペットは協力してくれないかな?」等と、お願いしてみて下さいね。

但し、聞き分けのいい子程、自分の本当の気持ちを押し殺してしまうので、ペット以外の弟さんの願いも、叶えてあげる必要があります。

また、姉さん弟さんそれぞれに、「いつでも、どんなことをしても、パパとママはあなたのことが大好きなのだ」、ということを繰り返し繰り返し、毎日 伝え続けて下さいね。
 
「子どもを愛し、認めていること」を伝え続けることで、淋しさや劣等感から解放され、子ども達の自己肯定感が高まります。
 
すると、お姉さんは不登校の改善が進み、弟さんも元気なままでいられますよ。
 
もちろん、毎日となると大変に思うかも知れませんが…
不登校が長期化すれば、あなたの苦しみもずっと続いてしまいますので、ご自身のために実践してみて下さいね。
 
最期まで お読み下さり、ありがとうございました。
 

まとめ
 
1、不登校改善の観点からペットを選ぶ。
2、なぜ、ペットを欲しがるのか、考える。
3、ペットに優しくできても、人には優しくできない。
4、兄弟・姉妹それぞれに「愛し、認めていること」を 毎日伝え続ける。

 
 

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