家庭でできる!
人間関係を良くする方法
高校生の不登校 理由に多い、人間関係の問題。
お子さんの多くは、「友達と上手くいかない」と悩んでいて、「いじめ」に発展しているケースも少なくありません。
そこで今回は、私の姉の例を参考に
「なぜ、友達と上手くいかないのか?」という理由や背景と、
「家庭でできる、人間関係を良くする方法」をお伝えします。
目次
1.なぜ、友達と上手くいかないのか?
2.友達作りが上手くいかない姉
3.母の思い
4.問題が起きた時が、成長のチャンス!
5.役割期待のズレ
6.期待のズレを修正し、人間関係を良くする方法
なぜ、友達と上手くいかないの?
私が不登校のお子さんに、学校へ行けない理由を尋ねると、「人間関係(コミュニケーション)が上手くいかない」や「裏切られた」、と話すケースが多くあります。
ただお子さんの多くが、それまでの小・中学校で、いじめられたり、裏切られたり、幼少期の心の傷が癒えないままだったりと、人間関係に深く傷ついた経験(トラウマ的な嫌な体験)を持っています。
だからこそ、新しい人間関係を作れる高校で、心機一転、頑張っているのですが…
現代は情報化社会ですから、SNSなどのさまざまなツールで、同じ中学校だった同級生や知人等から、「いじめられていたこと」「不登校だったこと」等々…
本人にとって触れられたくない過去の話や、あらぬ噂が飛び交ってしまいます。
また、これだけの理由には留まらず、「高校デビュー(笑)?」等と、家族や親しい人から、からかわれたり、バカにされたりと、お子さんの勇気をくじくのです。
例えば、私の姉の例で、考えてみたいと思います。
友達作りが上手くいかない姉
私の姉は、小・中学校でいじめに遭い、登校渋りや不登校を繰り返していました。
しかし、高校入学を機に、
“ 新しい自分に生まれ変わった気持ち ”で、頑張っていたのです。
ところが、次第に元気が無くなっていく姉。
その様子を心配した母が、姉に話を聞くと…
「同じ中学だった○○さんが、私のいじめられていた頃の話をして、『同性の友達がいないから、男に媚びを売ってる』という噂を流した。
だから私、そんな噂を真に受ける人は、友達になりたくない。
…でも、クラスに、女の子の友達がなかなかできない。」
寂しそうに、そう話していました。
すると母は…
「どうして、あなたは、いつもそうなの?!
いじめられていたのは事実だから、仕方ないでしょ!
もう少し人に合わせるとか、歩み寄るとか、
問題を起こさないように、なんでできないの!
親失格って、私が恥をかくじゃない!」
これを聞いた姉は、高校での人間関係に傷ついていましたが…
それよりも、母親が子どもの味方をするのではなく、
自分の保身を選んだことに、裏切られた気持ちや、自分を理解されない辛さが強く、ダブルショックだったのです。
その結果、姉は心の傷を深くすることとなり、
高校へ行ったり、行かなかったりすることが、更に増えていきました。
母の思い
一方、母は、姉の幼少期から「いじめ問題」「不登校」等、常に心が休まることなく、ハラハラした状態の子育てが続いていました。
また、父は仕事が忙しく、子育てに あまり協力できませんでしたし、母への尊重に欠ける態度でした。
そのため、姉に何か問題があって学校から呼び出しが来ると、決まって母が対応。
父は後から、「子育ては、お前に任せてるんだから、もう少ししっかりしてくれよ」と、母を責める。
この他にも、当時の母の状況を考えてみると…
・学校では教師に「お母さん、もっとしっかりして下さい」と叱られる。
・噂好きのママ友からは、「大変ね」と表面上の同情はされても、裏では、「また○○さんよ? きっと、家庭環境が悪いのね」と、白い目で見られる。
・地方出身で、既に両親は他界しており、本音で話せる友達はごくわずか。
・そのわずかな友達にも遠慮したり、「家の恥をさらしたくない」と、相談できずに孤立。
・母自身も仕事をしていたため、仕事・家事・子育てに追われ、心にも時間にも余裕のない毎日。
・偏頭痛や不整脈等、自身の体調不良や不安を抱えている。等々…
このような状況下で、何度となく繰り返される、「いじめ」や「不登校」といった子育ての悩み。
もちろん、父は、家族を養うために仕事を優先するしかありませんし、母もそれは、十分理解していました。
ただ、もう少し母への労いや配慮が出来ていたなら…、
きっと母の言動も、違っていたと思います。
なぜなら、母の本当の思いは、
娘に、ただ楽しい高校生活を送って欲しかっただけなのですから。
しかし、時間も精神的な余裕はなく、母も一杯いっぱいだったと思います。
そのため、姉の話を落ち着いて聞くことできずに、ヒステリックに怒ることしかできなかったのです。
問題が起きた時が、成長のチャンス!
いかがだったでしょうか?
みなさんのご家庭では、「友達と上手くいかない」というきっかけ(理由)によって、このようなやり取りは、ありませんでしたか?
今回のケースでは、同級生が本心から噂を信じて、
「本人と関わるか、関わらないか」を選択しているのか、本当のところは分かりません。
ただ単に、自分のことで精一杯なだけだったり、噂などは どうでもよくて、相手も友達付き合いが苦手だったり、本当は友達になりたいのに、勇気が出ないだけかも知れません。
加えて人には、好き嫌いの好み や 相性がありますから、みんな(クラス全員)に好かれることはありません。
ですので、噂を躍起になって撤回したり、 無理やり相手に合わせることに、集中する必要はないんです。
大切なことは、お子さんに何か問題があった時が、
「親子で適切な対処を考え、学び、成長するチャンスだ!」と捉えること。
なぜなら、子育ての目標は、「自立」だからです。
自立とは、自分一人だけで生きていくことではなく、他人との調和の中で、主体性を発揮して 生きていくことが、本当の自立です。
そのためには、さまざまな人間関係において、自分の思いだけを押し通したり、反対意見や批判にあっても、自分を犠牲にするのではなく、
・相手の気持ちを考え、配慮や意思の尊重をする。
・その上で、過不足なく相手に 自分の思い(意思)を伝える。
・そして、お互いが、ある一定の合意へたどり着くこと。
これらの調和と主体性のバランスの取れたコミュニケーションを、身に付けることが 重要なんです。
では、実際にどのようにすればいいのでしょうか?
まずは、ご家庭でできることから、始めていきましょう。
役割期待のズレ
早速、上記の例で、考えていきたいと思います。
この場合、相手に自分の思いを伝えるにしても、お互いが一定の合意へたどり着くためにも、娘と母親、 それぞれの立場に立って「どんな気持ちでいるのか」を、考えていく必要があります。
例えば…
・娘の立場 → 自分を理解してくれない、母親。
・母親の立場 → 親を困らせる、問題児の娘。
こう思うかも知れませんね。
しかし、人間は、自分以外を100%理解することはできません。
ですので、本人にしか分からない事情 や 理由があり、実は、どちらも悪くないんです。
ただお互いに、
「もっと、私を分かって欲しい!」
「もっと こうして欲しいのに、どうしてやってくれないの!」
と、怒り や 理想的な欲求に囚われてしまい、「気持ちのすれ違い」が起きているのです。
そして、このすれ違いにより、
「理想と違う」「思っていた反応じゃない」等と思って…
“ 役割に対する期待が、ズレているんです。 ”
こうなると人は、理想と現実のギャップにショックを受けたり、「こうしてくれるだろう」、という役割が果たされないわけですから、「こんなに大変な私を、労わってくれない」と、心が傷つきますね。
また、親御さんの中には、お子さんを叱ってしまってから、ハッとなり、叱ってばかりいる自分自身を責めたり、自己嫌悪する方も多いのではないでしょうか?
そんな時は、まず、お子さんも 親御さんも、
「本当は、今、心が傷ついているんだな」と、素直に認める(気づく)ことが、大切なんです。
また、もしお子さんを傷つけたと気づいたなら、親御さんからも、素直に謝ってあげて下さいね。
実は、多くの親子が、この心の傷を認めなかったり、その都度、素直に謝らずにいるために、親子関係をこじらせているのです。
というのも、
「心が傷つく = 傷つきやすい人 = 弱い人」、
「謝る = 自分の負けを認める」と、謝った解釈をしているから。
そのため、自分の気持ちを必死に隠したり、無視したり、強がったりして、背を向けてしまいます。
すると返って、傷に 塩を塗るような態度になってしまうのです。
でも、よく考えてみて下さい。
ショックなこと や 嫌な言動をされれば、誰だって心は傷つきますし、謝ることは、負けではありません。
謝ることは、自分の非を認めて、相手の感情を受け止める行為です。
また、謝ることで 事態が好転し、わだかまりを手離すことができます。
ですので、まずは、傷ついた自分を受け入れて、素直に謝り、次に、お互いの期待のズレを修正していけばいいんですね。
役割期待のズレを修正し、人間関係を良くする方法
では実際に、期待のズレを修正していきましょう。
この時必要なことは、
“ お互いが、「期待していることは、何か?」を知ることです。”
例えば、お子さんは、「学校で友達と上手くいかないこと」を、親御さんに、ただ聞いて貰いたかったのかも知れません。
あるいは、「噂に対しての対処法」や「女友達を作る方法」を、具体的に教えて欲しかったのかも知れません。
ただこれは、親御さんの考えたお子さんの(相手の)期待ですから、それが本当に、お子さんの期待していること(望み)なのか、本人に確認する必要があるんです。
しかし多くの親御さんが、この確認をしないまま、いきなり「こうしなさい・ああしなさい」や、「どうしていいか 分からない」と避けてしまうため、更に、ズレ(誤解)が生じてしまうのです。
ですので親御さんは、お子さんの話をよく聞いた上で、
「それは、辛かったね。
気づいてあげられなくて、ごめんね。
もし○○が友達を作りたいなら、お母さんも一緒に考えるよ。
○○は、どうしたいかな?」等々…
優しく聞きつつ、確認してみて下さい。
そして、親御さん自身も
「○○には、楽しい毎日を送って欲しいから、協力したい」等、素直な気持ちを伝えてあげて下さいね。
こうすることで、お互いが、何を期待しているのかが、明確に伝わりますし、気持ちのズレが解消されます。
もちろん、忙しい親御さんは本当に大変で、
「私の期待は、もう高校生なんだから、
自分でどうにかして欲しいってことよ~(涙)」と思うかも知れません。
しかし、この時間や対話を惜しんだばっかりに、引きこもり、うつ病、自殺等、もっと多くの時間、労力、お金が、必要になる可能性が高くなります。
それでもいいでしょうか?
もし、あなたの答えが「NO」ならば、職場等に事情を相談したり、掛け合った上で、この親子のコミュニケーション方法を、実践してみて下さいね。
お互いの期待や気持ちのズレが無くなれば、もっと心地よい親子関係が構築されます。
そして、この親子のコミュニケーションスキルは、友達との良い人間関係にも反映されますので、友達作りがスムーズにできるようになりますよ!
最期まで 読んで下さり、ありがとうございました。
まとめ
1、お子さんは、勇気をくじかれていませんか?
2、お子さんの話を、肯定的に聞けましたか?
3、親御さん自身が辛いことは、何でしょう?
4、心が傷ついたことを、受け入れてあげて下さい。
5、期待していることは何か、親子で話し合う。
6、親子で、期待のズレを修正する。