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【中学生の不登校】再登校 と 腹痛


再登校 腹痛 不登校

 
新学期を迎えると、不登校のお子さんの中には、頑張って再登校を果たす場合があります。

親御さんとしては、とても嬉しいことだと思いますが、同時に「思わぬつまずき」や「不安」があることもしばしば。
 
そこで今回は、再登校についてのご相談を頂きましたので、お答えしたいと思います。
 

目次
1.再登校したのに腹痛で学校へ行けないと、また落ち込まないか?
2.①お休み期間中の見守り方が、なぜ一番大事なのか?
3.②子ども自から再登校したのに、どうして体調を崩すの?
4.③ リハビリ期間とは、どんなものか?

 


 再登校したのに腹痛で学校へ行けないと、また落ち込まないか?


 
ある親御さんから、こんなご相談を頂きました。
 

ご相談内容
約一年間、不登校だった中学2年の娘が、新学期から、突然、再登校を果たしました!
近所に同じように不登校をしていて、今では週1回登校しているお友達に誘われて、そのまま登校した感じです。この状況に、母親の私も驚き、担任の先生も驚きました。
 
周囲の人の話によると、娘の再登校は、いい意味でクラスに刺激を与える出来事だったようで、休み時間に 友達が沢山話しかけて来たり、他のクラスの子も会いに来たりしたそうです。
 
ただ、約一年の間 完全に不登校だった娘にとって、この出来事は想像以上に、精神的負担だったみたいです。
 
再登校から3週目が経ち、前回同様、週イチ登校のお友達に誘われて、登校しようとしたところ、お腹を下すようになりました。(2回は行けたが、3回目は腹痛でお休み)
 
前日までは、本人も「明日、学校行くね」と、普通に言ってたんですが…
やっぱり、頭では学校へ行こうと思ってても、体は正直ってことなんでしょうか…。
 
このように、やっとの思いで再登校し始めたのに、腹痛で学校へ行けないと、また娘が落ち込まないか、とても心配です。 

 
というご相談でした。
親御さんのご心配は大変なものだと思いますので、まず、結論からお伝え致しますね。
 
結論】(問:再登校し始めたのに腹痛で学校へ行けないと、また娘が落ち込まないか?)
 
・一時的には、落ち込むと思います。
でもそれは、一時的なものなので、問題ありません。
 
ただそれよりも大事なことは、お休みしていた間に、「親御さんが娘さんを、どう見守って来たのか?」「根本的な解決を実践していたか?」ということです。
 
根本的な解決が進んでいれば、「こうしたい・ああなりたい」「こうありたい」という「自分発信」で、娘さんは動き出せるので、再登校で多少転んでも、大丈夫です!
 
ご相談のような再登校で起きる「つまづき」を理解し、対応するために、ここでは次の3つをお伝えします。
 

① お休み期間中の見守り方が、なぜ一番大事なのか?
② 子ども自から再登校したのに、どうして体調を崩すの?
③ リハビリ期間とは、どんなものか?

 
この3つを知ることで、親御さんは落ち着いて、お子さんのサポートをしてあげられます。
すると、次のような効果が得られるんです。
 
・娘さんの体調不良が改善する。(今回の場合は、過敏性腸症候群の改善)
・ストレスが掛かっても、自分で対処できるようになる。
・再登校のステップが、順調に進む。
・もう不登校が再発しない。
 
闇のトンネルにいるような 辛い不登校・引きこもりから解放される「一手」になると思いますので、ぜひ最後までお読み頂きたいと思います。
 
 


 ① お休み期間中の見守りが、なぜ一番大事なのか?


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ご相談にあったように、やっとの思いで再登校し始めたのに、娘さんが腹痛では、「また落ち込んでしまうのでは?」と心配になるお気持ちは、痛いほど分かります。
 
でもそれは、一時的な落ち込みで 仕方のないことです。

それより重要なのは、お休み期間中の見守り方で、「親御さんがお子さんを どう見守って来られたのか?」「根本的な解決を実践していたのか?」ということです。
 
というのも、親御さんの見守り方、接し方次第で、「お子さんの不登校が再発するか・しないか?」が決まるからです。
 
分りやすくするために、極端な例をお話しますね。
 
例えば、親御さんが不登校のお子さんに対して、「学校をお休みしている間は、心と身体の充電期間だから、そっとしておこう」と思って、極力 お子さんとの接触を避けた場合、どうなるでしょう?
 
きっとお子さんは、寂しい思いや孤独を感じたり、「自分が親を悲しませて、悪い子(ダメな子)だから、ほっとかれてるんだ」と、罪悪感を感じるのではないでしょうか?
 
あるいはこの逆で、お休みの間、ずっと「どうして、学校行かないの?!家でゲームばっかりして!もういい加減にしなさい!」って、怒られ続けたら…
これはもう、安心なんて出来ずに、家にもいられない感じですね。

このように「見守る」といっても、ただただ見守るのでは、「ほったらかし」ですし、口うるさく言われるのは、「恐怖」でしかありません。
 
でも、どちらの場合でも、実は、子どもは一回は再登校するんです。
 
なぜなら、「家にいるよりも、学校へ行った方が、まだマシかな?」と思うから。
 
でも実際は、本当の意味で、心身の充電ができている訳ではないので、再び不登校になるんですね。

つまり、お子さんが感じている「罪悪感・無価値感・寂しさ・孤独・見捨てられ不安」などの原因を取り除いて、「あなたは、受け入れられているし、愛されている。価値のある存在なんだよ」と、無意識レベルで思えるような接し方・見守り方を、親御さんがしてあげる必要があるんです。
 
この「私は受け入れられている」「愛されている」「価値ある存在だ」と思えることを、心理学では「自己受容」や「自己肯定感」といいます。
 
もちろん、不登校の原因はひとり一人違っていて、いじめ・障害・学力 など、先程ご説明した原因以外の場合もあります。
 
その場合でも、お子さんの原因に沿った対応や見守り方、解決策を実践していくことが、大事なのです。
 

 ② 子ども自ら再登校したのに、どうして体調を崩すの?


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ここまでお読み頂いて、「子ども自から再登校したのに、どうして体調を崩すの?」と思われるかも知れませんが、感のいい方なら、もう答えがお分かりかと思います。
 
それは、子どもが動き出す動機(発露)によって、変わって来ます。
 
なぜなら、人が行動を起こす時の動機は、主に次の2つだからです。
 

1,恐怖や罪悪感から逃れたい「不快の回避=恐怖発信」で動き出す。
2,「こうしたい・ああなりたい」「こうありたい」という「快の獲得=自分発信」で動き出す。


1の「不快の回避=恐怖発信」の場合は、「お休み期間中の見守り方が、なぜ一番大事なのか?」の例でお伝えしたように、親御さんのプレッシャー と 本人の罪悪感が強く、心身の充電ができていない ストレス状態での再登校になります。そのため、直ぐに体調を崩しやすいのが特徴です。

2の「快の獲得=自分発信」の場合は、「こうしたい・ああなりたい」「こうありたい」という希望からなる自らの選択で動き出しているので、踏ん張りがききます。
また、多少の失敗や体調を崩しても、立ち直りが早く、休み休みでも 前に進んで行ける、というのが特徴です。

この「不快の回避=恐怖発信」なのか?「快の獲得=自分発信」なのか?を知っていると、再登校をし始めて、腹痛などの体調不良が出て来た時に慌てることなく、次の2つの原因を考えることができます。
 
①お子さんの根本原因を理解していない。あるいは、適切な見守りを実践できていなかった。
②リハビリ期間を、あまり考慮していなかった。

もし①の場合、お子さんは、恐怖発信で行動しているため、先程もお伝えした、「子どもが自己受容できる」もしくは、「自己肯定感が持てるような 適切な見守り」が、不十分ということです。
 
ですのでこの解決策として、親御さんは、お子さんが不安に思っていることへの理解 と その対処法である、「あなたは、受け入れられているし、愛されている。価値のある存在なんだよ」と、無意識レベルで思えるような 接し方・見守り方の実践から始めて、「安心感」を与えられるようにしてくださいね。
 

もし②の場合は、足を骨折した時のような「リハビリ期間」をイメージしてみて下さいね。
詳しくは、次の3でお話しますが、親子で焦らずに、トライ&エラーで進めることが大切です。
 
いずれにしても、「こうしたい・ああなりたい」「こうありたい」というような、「快の獲得=自分発信」で動き出せるようサポートすることが、重要なんですね。
 


 ③リハビリ期間とは、どんなものか?


再登校 親の接し方 見守り

 
不登校のリハビリ期間は、足を骨折した時のようにイメージしておくと、分りやすいと思います。
 
また再登校には、保健室登校 や 別室登校などから始めて、慣れてきたら、週2・週3回と、通える回数(日数)を増やす 「1,スモールステップ」で行う方法と、 「2,思い切って自分のクラスへ戻る」方法の 2つの方法があります。
 
今までの不登校改善では、「スモールステップ」を勧めることが多かったのですが、最近の私の実感としては、 「思い切って自分のクラスへ戻る」方がいい場合が多い、と感じています。
 
ただ思い切ってクラスに戻る場合は、不登校の子が登校すると、その物珍しさから、チヤホヤされる「チヤホヤ期間」があることを、事前にお子さんに伝えたり、その対策を親子で話し合うなどする必要があります。
 
(※「チヤホヤ期間の対策法」はあるのですが、今回、お伝えしていると長くなりますので、またの機会にさせて頂きたいと思います。)

とはいえ、どちらを選択しても、お子さんにとっては、とても勇気のいることですし、エネルギーも必要です。
 
また、お子さんの年齢・いじめなどの原因の解決度合い・体調などにより、一歩進んで二歩下がるといったようなことも多く、進み具合には 個人差があります。
 
ですので 親御さんは、「トライ&エラーをくり返し、進むもの」と、知っておいて下さい。
 
そして、何より「焦らないこと」が肝心ですので、心配し過ぎないで、お子さんを信頼してあげて下さいね。
 
 
今回は、「再登校のつまづき」について、お伝えしました。
 
もちろん、親御さんの中には、「本も読んだし、スクールカウンセリングに相談したんだから、ただ見守るのではなく、それなりに見守りはして来たつもりです!」とうい方もおられると思います。
 
その場合でも、 もしお子さんの体調不良が続くようでしたら…、 親御さんが想定しているよりも、「自分を受け入れてくれている」という、お子さんの実感は薄い、と思って下さい。
 
この事実を認めることは、親御さんにとって、辛いと思いますが、それを避けていては、不登校の改善は進みません。
 
ですので今一度、 「無意識レベルで、自分は受け入れて貰えているんだ」と思えるような見守り方・接し方を、見直してみて下さいね。
 
そのためには、毎日1時間は、お子さんの話しを肯定的に聞いたり、お子さんのいいところ(性格・才能・能力・なんでも)を伝えて、スキンシップを取る等を、今以上にして下さいね。
 
最後まで お読み下さり、ありがとうございました。
 
 

まとめ
 
1、一時的な落ち込みより、お休みの間、適切な見守りをして来たかが重要。
2、不登校の根本原因を理解し、その対処法を実践していますか?
3、再登校は、自分発信で動き出すことが大切。
4、原因も理解し、対処法も実践しているなら、リハビリ期間はトライ&エラーなので、焦らない。

 

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