昼夜逆転の子ども、スマホやゲームはいいの?
不登校の多くのお子さんは、「昼夜逆転の生活」になります。
そして、お昼頃に起きたかと思うと、スマホやゲームばかりしている。
そんな様子を見守る親御さんは、スクールカウンセリング や 不登校の本では、「まず、休ませる」というけど…
「本当に このままでいいの?」と、心配に思うかも知れません。
そこで今回は、
「昼夜逆転でスマホ・ゲームにハマる心理的理由」と、
「生活のリズムを整える お子さんへの接し方」をお伝えします。
目次
1.どうして、昼夜逆転になるの?
2.昼夜逆転の主な心理的ストレス
3.スマホ や ゲームは、いいの?
4.生活のリズムを整える接し方
どうして、昼夜逆転になるの?
不登校のお子さんの殆どは、「昼夜逆転の生活」になります。
というのも、「朝 起きられないから」ですね。
実はこれ、思春期の子どもによくみられる症状で、医療機関を受診すると、「起立性調節障害」と、診断される場合が多いんです。
起立性調節障害は、朝起きられない・立ちくらみ・だるさ(倦怠感)・動悸・頭痛などを伴なうことが多く、思うように身体が動かない 辛い状態。
しかし多くの場合、「甘え」「なまけ癖」「仮病」などと誤解されがちです。
この起立性調節障害の原因は、成長ホルモンの影響等、いくつもあるのですが、主に「自律神経の乱れ」と考えられています。
そして、自律神経の乱れる原因も、これまた複数あるのですが…
ここでは、不登校によく見られる「心理的ストレス」について、お伝えしますね。
昼夜逆転の主な心理的ストレス
例えば、カウンセリングで話す不登校のお子さんは、親御さんが思っている以上に
「学校へ行けなくて、
親やクラスメイトに迷惑をかけて、申し訳ない」
「学校へ行けない私は、ダメな子なんだ」
「このままじゃいけないって本当は分かってる。
でも、学校が怖い」等々
普通のことができない自分を責め続け、「罪悪感」を持っています。
そのため、「普通に登校できる生徒」と「登校できない自分」とを比べてしまい、とても心苦しいのです。
そして、心苦しいが故に、合わせる顔がなく、みんなが登校する時間を避けるようになります。
すると、当然、朝は起きられませんよね。
また、この「申し訳なさ」や「心苦しさ」は、親御さんやご兄弟(姉妹)にも、向けられています。
なぜなら 子どもにとっての学校は、「大人の仕事」と同じ意味を持つからです。
例えば、大人が理由も分からないまま無職でいると、どうでしょう?
「お年寄りや専業主婦、病気なら、理解できるけど…
それ以外はちょっと、人として、どうかと思う」等々…
全ての人が、こう思っているとは言いません。
しかしながら、心のどこかでは、無職の人を見下したり、人として見ていない部分もありませんか?
もちろん、「そんなこと思ってない。」
「きっと、その人なりの事情があるのでは?」
そう思う方もいるかも知れませんね。
ただこの言葉の後に続くものは…
「辛いことがあって、かわいそうに…。」
「でも、辛いことがない人なんて、いないのでは?」
いかがでしょうか?
上記のような場合を、不登校のお子さんに当てはめると…
「学校へ行ってない」=「無職」=「人として見て貰えない」
こう考えてしまい、不登校のお子さんは、「学校へ行けない 情けない自分」に自己嫌悪したり、自己否定をし続けてしまう。
その結果、仕事や学校へ行くために準備している家族と、顔を合わせないように、行動するようになるんですね。すると…
・家族が仕事や学校へ出かけた頃を見計らって、起きる。
・家族が朝起きる時間と入れ替わりで、寝る。
このような生活リズムのお子さんは、少なくありません。
つまり、不登校の心理的ストレスは、二重、三重に 積み重なるんですね。
そして、これらが原因で、「自律神経の乱れ」を引き起こしているため、昼夜逆転にならざる負えないのです。
スマホ や ゲームは、いいの?
さて、上記のように 昼夜逆転の理由は、少しご理解頂けたと思います。
とはいえ、親御さんの多くから、「起きてる時間は、スマホやゲームばかりで心配」とご相談を受けます。
親御さんの心配は、ごもっとも!
スマホ依存等の、「依存症」になられては、困りますものね。
でも、実はこれ、スマホやゲーム等、何かに没頭することで、学校へ行けない罪悪感 や 自己否定する気持ちを 緩和するために、「心のバランス」を取っているのです。
もちろん、親御さんの中には、「それって、現実逃避じゃないの?」と、思われるかも知れません。
しかし、不登校のお子さんの多くが、心に深い傷を負い、孤独を感じたり、疲弊した状態です。
そのため、一時的に休んだり、逃げ込める場所や、自分を必要としてくれる人との繋がりが、必要なのです。
そして、これらを満たすのは、スマホやゲーム。
特に、オンラインゲームでは、チームを組んで行ったり、対戦相手がいないと、困りますよね。
ですので、この関係がお子さんにとって、「大切な人(社会)との繋がり」であり、「安全地帯」なのです。
そしてこの状態は、子どもだけに限らず、大人でも起こります。
例えば、お子さんが不登校になると、親御さんが負い目を感じてしまい、仕事や趣味に、没頭される方がおられます。
この状態を「子どもと向き合おうとせず、逃げている」と、捉えることもできますが…
もし、この逃げ場がなかったとしたら、どうなるでしょう?
きっと、親御さん自身が潰れてしまい、ご家族のサポートができなくなってしまう、と思いませんか?
ですので、心のバランスを保つために、スマホやゲーム等、お子さんが没頭するものは、無理に取り上げないで下さいね。
生活のリズムを整える接し方
「子どもが 昼夜逆転になることは、理解した。
でも、やはりスマホ依存 や 身体が心配!」
こう思われる親御さんのために、
「生活のリズムを整える お子さんとの接し方」の一部をお伝えします。
【生活のリズムを整える方法】
1,体のだるさを楽にするために、生活のリズムを一定にして貰う。
2,お子さん自身が、「就寝時間」「起床時間」を決める。
3,ルールを守れなくても、責めない(怒らない)。
4,楽しみ や 喜びを感じられる体験をして貰う。
1,体のだるさを楽にするために、生活のリズムを一定にして貰う。
親御さんは、もし昼夜逆転のお子さんを、叱ったり、嫌な顔をしている等の態度を取っている場合は、すぐに止めて下さいね。
そして、お子さんの辛い身体症状に、配慮が足りなかったことを、素直に謝ってあげて下さい。
その上で、「遅く起きることを責めているのではなく、体のだるさを楽にするために、早起きでなくてもいいから、生活のリズムを一定にするのは、どうかな?」と、提案してあげて下さい。
2,お子さん自身が、「就寝・起床時間」を決める。
1の提案を親子でよく話し合いながら、「就寝・起床時間」を、お子さんに決めて貰って下さい。
因みに、睡眠時間は、長過ぎても短過ぎても、質の良い睡眠を取ることができません。
快眠に適しているとされる“7時間前後を確保して”、「就寝時間」と「起床時間」を、一定にすることをお勧めします。
但し、最適な睡眠時間は、個人差がありますので、お子さん自身が決めることが、何よりも大切です。
3,ルールを守れなくても、責めない(怒らない)。
「怒られる恐怖」で目覚めるのは、ストレスを増幅させ、症状の改善には至りません。
また、親御さんの号令なしに動けない場合、「指示待ち人間の育成」に繋がりますので、怒ったり、責めたりせず、見守って下さいね。
4,楽しみ や 喜びを感じられる体験をして貰う。
人は罪悪感を抱えていると、無意識に自分を罰するようになります。
そのため、平気そうな顔をしていても、人生を心から楽しむことができなかったり、喜びを感じることを忘れてしまいます。
これでは、ずっと辛いままですよね。
ですので親御さんは、お子さんの好きなこと、やりたいことを聞いてあげて、一緒にやってあげて下さい。
そして、「人生の楽しみ や 喜びを感じてもいいんだ」と、思い出させてあげて下さいね。
例:映画・アニメを観る。
親子でゲームをする。
一緒に料理をする。
一緒に食事を楽しむ。 等々
「別にない」と答える場合は、親子のスキンシップが、とても効果的!
スキンシップを取ることで、「幸せホルモン」「癒しホルモン」と呼ばれる「オキシトシン」という、ホルモンの分泌が活性化されます。
このオキシトシンが しっかり分泌されると、不安や恐怖心が減少。
すると、ストレスが減り、自律神経が整います。
そして、自律神経が整うことにより、体のだるさも、徐々に楽になっていきますよ!
また、オキシトシンの効果は、肌に触れられる側 と 触れる側の両者に効果があるため、親御さんも「幸せ効果」が与えられますので、是非、実践してみて下さいね♪
思春期のお子さんが、生活のリズムを整えるのは、親御さんが思うより、大変な努力とエネルギーが必要です。
そして、それを支える親御さんも、本当に大変だとは思いますが、まずは、実践してみて下さいね。
最期まで お読み下さり、ありがとうございました。
まとめ
1、昼夜逆転は、起立性調節障害かも知れません。
2、不登校の子どもは、自分を責め続けている。
3、スマホ・ゲームは、心のバランスを保つために、必要。
4、就寝・起床時間を一定にすることを、まずは心掛ける。