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親の「過保護」と「過干渉」の違い


不登校 親 過保護 と 過干渉 違い

 
女の子が 不登校になる場合、親御さんには、いくつかの共通パターンがあります。
 
その中でも、よく耳にするのは、
親の「過保護」と「過干渉」ではないでしょうか?
 
しかし、多くの親御さんから、
「どちらも良くない、と聞くし」、
「過保護 と 過干渉 の違いが 分からない」と、ご質問を受けます。
 
そこで今回は、
「親の『過保護』と『過干渉』の違い」をお伝えします。
 

目次
1.「過保護」と「過干渉」の違い
2.過保護タイプ
3.過干渉タイプ
4.「過保護」と「過干渉」どちらも良くないの?

 


 「過保護」と「過干渉」の違い


 
初めに、不登校に限らず、親御さんには、いくつかのタイプがあります。
その中でもよく耳にするのは、「過保護」と「過干渉」の2タイプ。
 
この2つのタイプは、一見すると どちらも同じように見えるため、多くの方が混乱されます。
 
しかし、この2タイプには、決定的な違いがあるんです。
 
その違いを知り、「ご自身がどちらのタイプか?」を見極めることで、今後の不登校 解決に、役立てることができます!

では早速、「過保護」と「過干渉」の違いです。
 
その違いを、児童精神科医の佐々木正美先生は、とても分かり易く、こう表現しています。
 

子どもが のぞむことを みな与えるのが「過保護」、
親が のぞむものだけを与えるのが「過干渉」。 

※出典:「子どもの心の育てかた」
 


 過保護タイプ


 
いかがでしたか?
これだけで、分かったように思うかも知れませんし、なんだか、反論したくなるかも知れませんね。
 
というのも、多くの方が、
「過保護」の、子どもが望むものをみな与えたら…
 
「子どもが我儘になる」
「依頼心が強過ぎて、自立できない」
 
こう考えるのではないでしょうか?

しかし、実は、そんなことないんです!
 
確かに、おもちゃ等の物質的な物は、限度がありますし、命に関わるような危険なことは、させてはいけません。
 
ただ 子どもが興味を示した「こうしたい」「ああしたい」といった望みや、感情を受け入れ、叶えてあげた場合、自立できないということはありません。
 
これは、私の経験も含まれますが、佐々木正美先生も、同じ意見のようです。
 
なぜなら、自分の望みを叶えて貰った場合、「喜び」と「感謝」の心が引き出されるからです。
 
もちろん、子どもは 感情のままに生きていますから、おねだりしたおもちゃを買い与えても、次の日には、どっかいってる。
なんてことは、日常茶飯事なのですが…
 
それでも、自分の感情を 受け入れて貰えた経験。
自分の意思を尊重してくれたことが、嬉しくて、後に感謝できるのです。
 
すると、大人になるにつれて、自分がしてもらったように、他者を尊重し、望みを叶えたり、喜んで貰おうと 社会貢献したり。
 
また、次世代にも、それらを伝えることができるようになるため、自立することができます。
 


 過干渉タイプ


 
一方、親が望むものだけを与える「過干渉」。
 
親御さんとしては…
 
「子どもに悪影響なものは、与えたくない!」
「子どものために、こうした方がいい」
 
親自身の価値観や経験で、「こっちがいい」と思って、「子どものために、良かれ」と思うことを言ったり、やったりします。
 
しかし、子どもがしたいこと、欲しいものは、親御さんから見ると、意味がないようなものや、将来 役に立ちそうにないものばかりかも知れません。
 
そのため、子どもが何かを望んだ時に、実は、親御さんの都合で、言葉巧みにすり替えたりして、「親がのぞむこと」ばかりを与えているんです。
 
すると、子どもは、
「望み(意思)を伝えても、どうせ 聞き入れてもらえない」
 
こう無意識に思い込み、欲求不満 や 過剰な我慢 が増えます。
 
欲求不満 や 我慢の多い子どもは、後に、一気に爆発させる傾向が強く、
 
「あの時、○○してくれなかったから、
 私も、あなた(親)の望みは聞かないもん!」等々…
 
無意識に 親御さんを困らせたり、復讐したりします。
 

加えて、自分の気持ちや意思が、親御さんに受け入れて貰えない子どもは、自己防衛が働いて、自分を表現することを、恐れるようになるんです。(傷つくことから、身を守るため)
 
しかし、人間の成長として、徐々に「自我」が芽生えて来て…
 
「私は、こうしたい」気持ちと、「親が思う 理想の良い子でいよう」と、抑え込もうとする葛藤に苦しむため、自我を 作り上げていくことが、難しくなるんです。
 
すると、自分の人生であっても、
「親が喜びそうで、認めてくれそうな選択をする」
 
あるいは、自身の望みを無視され続けたために、望み自体を消す 考え方の癖が付き、自分でも自分のしたいこと や 望みが、分からなくなってしまうんです。
 
その結果、自立へのスタートが、上手く切れない場合があります。
 


 「過保護」と「過干渉」どちらも良くないの?


不登校 親 の 過保護・過干渉

 
最後に、「過保護も 過干渉も、どちらもらも良くない」という意見についてです。
これについても、佐々木正美先生は、次のように仰っています。
 

一見、そういうふうに(過保護のように)見えるケースというのは、過保護の結果ではなくて、過干渉です。
 
子どもに対して過剰に干渉し、そのあとから 保護的な態度をとる、というケースがほとんどなのです。


確かに、そうなんです。
私がご相談を受ける不登校や、精神的な病にかかる子どもの多くは、圧倒的に「過干渉タイプ」の親御さんです。
 
というのも、多くの不登校 や 子育ての相談先(私も含め)で、
 
「子どもへの干渉し過ぎは、良くないですよ」
「もう少し、子どもの希望を聞き入れてあげて下さい」
 
などと、アドバイスされます。
 
すると、それまでの 子どもへの過剰な干渉をやめて、受容的、保護的な接し方に切り替えるからなんです。
 
つまり、過保護も 過干渉も、どちらも良くないのではなく、「過干渉」が、良くないんですね。

ですので、もし子どもとの関り方が、ご自身の判断で、
「過干渉タイプかも知れない」と思った方は…
 
子どもの感情(気持ち)を受け入れたり、希望を聞き入れて、「安心」を与えてあげて下さいね。
 
こうすることで、一時的に、赤ちゃん返りしたようになることはありますが、心配はいりません。
 
何歳になっていても、一度 乳幼児期に戻して「安心」を与えると、子どもは、自立に向けた「再スタート」をしてくれます。
 
まずは 焦らずに、安心を与えることに、専念して下さいね。
 
最期まで お読み下さり、ありがとうございました。
 

まとめ
 
1、子どもが望むことを みな与えるのが「過保護」
  親が望むものだけを与えるのが「過干渉」
2、自分の望みを叶えて貰った子どもは、
  「喜び」と「感謝」の心が引き出される。
3、親が望むことばかりを与えると、子どもは欲求不満になる。
4、子どもへの 過剰な干渉をやめ、感情や希望を受け入れる。

 
 

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