生かして欲しい姉の教訓
 

HOME | 自殺防止・遺族の教訓 | 高校時代の悩み | 親子の信頼関係を取り戻す方法:前編

親子の信頼関係を 取り戻す方法:前編


不登校 親子 の 信頼関係

 
不登校の女の子は、親御さんに反発したり、不信感を抱いていることが多く、親子関係に悩んでいる傾向があります。
 
しかし、親御さん側は、「思春期だから…」と思ったり

「私は娘に、こんなに愛情を注ぎ、手をかけ、大切に育てているのだから、そんなはずないじゃない!」と、思っているケースが多いものです。
 
ただこの認識の違いを受け入れず、放置することは、不登校の長期化を招き、お子さんの成人以降も、「親子の確執」として、しこりを残すことになり兼ねません。
 
そこで今回は、私の姉の例を参考に
 
「なぜ、子どもは、親に不信感を抱くのか?」という理由を前編で、
「親子の信頼関係を 取り戻す方法」を後編で、お伝えします。

  

目次
1.なぜ 子どもは、親に不信感を抱くのか?
2.母親に対する、姉の不信感
3.反発すればするほど、苦しみは続く


 なぜ 子どもは、親に不信感を抱くのか?


 
親御さんにとっては、受け入れたくない事実かも知れませんが…
不登校のお子さんの多くは、親子関係に悩み、親御さんに対して、「不信感」を抱いている傾向にあります。
 
こんな話をすると、「そんなことない!」と、親御さんは、腹が立つかも知れません。
 
しかし、本来 子どもは、経済力・知識・経験などが未発達なため、「親に依存する」という形で生活し、成長します。
 
そのため、親御さんから「喜ばれ、好かれ、愛されていない」と、生きていけません。
 
故に、子どもは、「愛されるための生き方」をするのです。
 
同時に、人生に必要なあらゆることを、親御さんから教えてもらったり、学校・テレビ・本・ネット・家族・親戚・友達 等
 
さまざまに見聞きしたものや、自分の肌で感じるような体験から影響を受け、多くの「生きる術」を学びます。
 
そして、学んだ生きる技術を、学校等の社会で試しながら咀嚼して、徐々に自分の知識 や 技術として身に付け、成長し、自立していきます。
 
つまり、子ども時代の「どうすれば、親に愛されるのか」という関心から、他者に関心が向き、次の3点を長い年月をかけて習得し、人として成熟することを意味しているのです。
 

・社会と調和して暮らせること。
・他者に喜んで貰える何かを、提供できる自分になること。
(他者貢献する自分になる)
・自己実現すること。

 
このような人間の成長を、ドイツの社会心理学、精神分析、哲学の研究者である エーリッヒフロムは、「愛される技術」から「愛する技術」に変わる、と表現しています。
 

ところが、この成長の過程で、自分の中では当たり前だったことや、親御さんの言った通りにしても、社会の中では通用しない時がやって来るのです。
 
そこで子どもは、自分と他者との違い、理想と現実のギャップ。
親の教えが絶対的ではないこと、完璧は存在せず、人には向き不向き、個性があること等、さまざまなことを知ります。
 
そして、自分が未熟だったり、無知だ、ということを自覚。
 
それに伴い、恥ずかしさ・挫折感・悔しさ・劣等感・反抗期 等の複雑な感情を体験し、反省して、新しい考え方に変える。
 
あるいは、更に修練し、独自のやり方を発見したりと、さまざまな取捨選択と練習を繰り返し、その試練を乗り越えていくのです。
 
ただこの試練は、一人ひとりの状況・試練(課題)が違うため、直ぐに克服できるもの、できないものがあります。
 
とはいえ、こうして言葉で書くと、簡単そうに思われるかも知れません。
 
しかし、実際のお子さんは、今までの考え方 や やり方、生き方までを、変えざる負えない状況に追い込まれていますから、葛藤 や 混乱は避けられません。
 
その中でも親御さんの影響は大きく、次のような接し方をして来た場合、
お子さんの葛藤や混乱は、激しさを増す傾向にあります。

 

 
 子どもに不信感を抱かせる 接し方例
 
・親の言いつけや躾を、しっかり守って来た場合。
 
・勉強やスポーツ等、子どもがする何かが、親の期待通りだった時は、とても喜び、褒める。
 
 しかし、親の思った成績ではなかったり、何かができないと、怒ったり、責めたり、否定する。 
 
・子どもへの思いやり・優しさとはいえ、方便を多様化して来た場合。
 
・子どもへの躾、褒めたり・叱ったりする親の基準が曖昧で、その日の気分で変わる。
 
・親の夢や理想を、子どもに背負わせて来た場合。
 
・親の言行不一致。
 
・親が、子どもを信じていない。
 
・親の感情表現が分かりずらく、素直に表現しない。
 
・親が望むものだけを、子どもに与える。
 
・夫婦の不仲。 等々…


すると、お子さんは、親御さんが大好きだからこそ
 
「今までの教えは、一体 何だったの?」
「お母さん(お父さん)の話は、ウソだったの?」
「自分はできないのに、なぜ私には、理想を求めるの?」
「私は変わりたいのに、どうして邪魔するの?」
「私は幸せになりたいだけなのに、なぜ反対するの?」等々…
 
さまざまな疑問 や 疑念を持つため、親御さんに対して「不信感」を抱くのです。
 
例えば、私の姉の例で、考えてみたいと思います。


 母に対する、姉の不信感


不登校 親子関係 不信感

 
私の姉は、小中学校から、いじめによる登校渋り・不登校をしていました。

そんな姉も、なんとか高校へ入学し、勉強、スポーツ、友達作りと、必死に頑張っていたのです。
 
また、高校生になると、大人の考えを持つ生徒は多く、変に絡んでくるという、子どもっぽいいじめは無くなりました。
 
そのため、私達家族は、ホッとしていたのですが…、
ある日を境に、姉は元気が無くなり、再び学校へ行かなくなりました。
 
そして、しばらく休んでいると、姉は、その理由をぽつりぽつり話し始めたのです。
それは…
 
「今まで、お母さんの言うことを守って、やって来た。
でも、高校はみんなもっと大人で、今までのやり方では 全く通用しないし、『あなたの家は、ちょっと時代錯誤だね』と言われた。
 
私が子どもなのが悪い、と思うけど…
もっと大人になりたくて、変わりたくて、変わろうとすると、 お母さんが嫌なことばかり言ったりやったり、不安をあおって来て、足を引っ張る。
 
私はただ大人になりたいだけなのに…
 
それに、お母さんの言うことは、基準が良く分からない。
 
小さい頃から感じてたけど…
お母さんの躾は、その日の気分で怒ったり、言うことがコロコロ変わる。
 
それを先生 や スクールカウンセラーさんに相談しても、「あなたのことが 心配だからだよ」というだけで、私の話しは 信じて貰えない。
 
だって、お母さんは、自分の都合のいいようにしか話さないから。
 
そんなお母さんのことなんて、もう信じられない…」

悲しそうに話す姉の言葉に、同じ両親、同じ家庭環境にいる私も、「同じことを思ってたんだ…」と、母に対し不信感があることを、はっきり自覚したのを覚えています。
 
ただ当時の私は、姉のように勇気がなく、母への不信感を誰かに話しては、
 
「家の恥をさらしたくない」
「親を馬鹿にされたくない」
「母の嘘に父が気づけば、両親は離婚してしまうのでは?」
 
このように考え、姉と共に立ち向かわなかったことを、今でも後悔しています。

 反発すればするほど、苦しみは続く


不登校 親子 の 信頼関係

一方、親御さんは、私達のように子どもから、「親に対して不信感がある」と言われても、ショックや怒りを感じるかも知れません。
 
なぜなら、子どもが出来てからの親御さんは、仕事を辞めたり、仕事と子育ての両立に奮闘したりと、どうしたって、子ども中心の生活を送ることになりますよね。
 
そして、自分の時間も削って、子育てを頑張って来たのですから、そう簡単に受け入れられないのも無理はありません。
 
また、親御さんは、お子さんにたくさんの愛情を注いで来たことも事実ですから、ショックや受け入れたくない気持ちは、親として当然だと思います。
 
加えて、我が子の成長が嬉しくて仕方なかったのに、「あなたの助けは、もういらない」と、言われた感じがして、寂しさや、拠り所のない不安な気持ちかも知れません。
 
ただここで知って頂きたいのは、親御さんが感情に囚われて 反発することにより、不登校が長期化して、親御さんの不安や苦しみ、寂しさが、むしろ長く続いてしまうということです。
 
それでもいいでしょうか?
 
もしあなたの答えが「NO」なら、一度 ご自身の感情を手離して頂き、「今の娘は、そう思っているんだな」と、受け入れてあげて下さい。
 
そして、「適切な対応の仕方」を考えていく方が、ずっと上手くいき、早く楽になれますよ。

では、実際にどうすればいいのでしょうか?
 
具体的な方法をお伝えしたいのですが、今回は、長くなってしまいますので、 「親子の信頼関係を取り戻す方法【後編】」で、お伝えします。
 
 
最期まで 読んで下さり、ありがとうございました。
 

まとめ
 
1、お子さんを、護り過ぎていませんか?
2、親御さんの言動は、一貫性がありますか?
3、感情を手離し、現実を素直に受け入れる。

 
 

この記事の後によく読まれています
Ranking
最近の投稿

     

生かして欲しい姉の教訓